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わかば経営会計メールマガジンVol47 令和3年税制改正大綱

2021.01.06Vol.047

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わかば経営会計メールマガジン Vol 47 令和3年税制改正大綱
2021年1月6日 水曜日
【目次】
1.税制・経営コラム ~令和3年税制改正大綱~
2.税制・経営コラム ~補助金制度について~ 
3.実務図書紹介 ~IPOビジネスの本質~

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◇ 1.税制・経営コラム ~令和3年税制改正大綱~ ◇

新年明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い申し上げます。

コロナ禍での新年ということで、遠出ができない正月となってしまいました。
早く収束することを祈るばかりです。

さて、まずは今年度の税制改正について説明させていただきます。

<法人課税に影響する論点>
・中小企業M&A税制
 中小法人が、経営力向上の認定を受けた後、
 他の会社の株式を10億円以下で購入し、
 事業年度終了まで引き続き保有している場合、
 取得価額の70%を限度として準備金に積み立てた場合、
 損金算入できるようになります。
 その後、5年経過後に準備金を取り崩し益金算入となりますので、
 課税を繰り延べる効果があります。

・研究開発税制の見直し
 企業のビジネスモデルを変革していく観点から、
 自社利用ソフトウェアについて、
 従来資産計上となっていた開発途中で発生する費用についても、
 改正により試験研究費の税額控除の適用を受けることができます。

・中小企業における所得拡大促進税制(税額控除)
 継続雇用者の給与が前期から一定以上上回ることを前提としていたが、
 改正後は新規の雇用者のみで判定でき、設備投資要件は廃止されました。
 税額控除の計算方法に変更はありません。
 対象となる企業の要件が緩和されたため、増加することが想定されます。

・固定資産税、償却資産税の軽減
(土地については減免対象外)にかかる固定資産税
 及び償却資産税について、2021年に限り、1年間限定で減免※されます。
 ※2020年2月~10月までの任意の連続する3ヶ月間の
 事業収入の対前年同期比減少率が50%以上減少のとき全額、
 30%以上50%未満のとき1/2減免となります。


<個人課税に影響する論点>
・住宅ローン控除の期間延長
 契約後控除ができる期間は13年間で変更はなく、
 対象不動産の面積要件が、50平米から40平米に緩和され、
 より小規模の不動産にも適用できるようになります。

・結婚資金、教育資金の贈与に関する非課税枠の延長
 従来の税制では、当年度において適用が縮小・廃止される予定となっていた
 贈与に関する非課税枠について、据え置くことが発表されました。

・退職所得課税の適正化
 勤続年数が5年以下でかつ役員でない者の退職金について、
 退職所得が300万円を超える場合、
 超える部分について1/2課税が廃止されます。

法人課税の観点からは、コロナの影響を受け、業務体制刷新を後押しする
改正が目立ちました。
その他、コロナ影響による納付期限の延長、
申告書等の押印廃止や、手続きの簡略化が
図られています。

◇ 2.税制・経営コラム ~補助金制度について~ ◇

コロナ影響を受けて業態変更を促進する税制のほかに、
補助金制度も存在します。
ここでは、中小企業が関係する補助金等について紹介いたします。

・ものづくり補助金
 採択率は6割程度と低く、高付加価値を生み出す
 サービスに必要な投資に限定されていますが、
 補助率は1/2、最大1000万円が補助されます。
 申請書の書き方が採択に影響を及ぼすこともあるため、
 弊社でもアドバイスを行っております。

・事業再構築促進補助金
 2021年に募集予定の新設の補助金で、
 詳細は補正予算が国会で承認されなければ決まらない部分が多いですが、
 事業規模が1兆円超と大きいため、
 採択率も高くなることが想定されます。
 新規事業への進出や業態転換等を実行する場合に要した
 設備投資等の1/2~2/3が補助され、補助額は100万円から1億円です。

詳細については、情報が発表され次第、
このメルマガでも紹介していきます。

◇ 3.~実務図書紹介~ IPOビジネスの本質 ◇

IPOビジネスの本質
(谷間 真著、リスナーズ株式会社 2016年9月)
https://www.netoff.co.jp/detail/0012529692

この本は、複数のIPO案件で主導的役割を果たしてきた方が執筆されています。
副題は「なぜ70%の企業がIPOに失敗するのか」
とされており、IPOがいかに失敗に終わることが多いか、
そしてその原因は何かというところまで言及されています。

IPOに何百社と関与したと豪語するコンサルタントであっても、
プロジェクトリーダーとしてチームを指揮し、
上場に導いた経験のある方は
驚くほど少ないのが現状で、IPOを目指す社長が探すべき人材は、
そのような経験を持つ方だといいます。

IPOプロジェクトの過程では、内部統制など会社のシステムを整える作業が
膨大に発生し、主幹事証券や監査法人との交渉事も多いです。
しかしながら、それらの業務はIPOの本質ではないといいます。

「IPOの本質は自社株式のマーケティングである」と明言されており、
IPOプロジェクトのリーダーに最も必要とされる能力は、
自社の株式を買ってもらう投資家へのPRであるといいます。

では、どのような場合に、投資家に株式を買ってもらえるのでしょうか。
それには投資家の成長への期待感と裏付けとなる業績が重要です。

成長への期待感を具体的に言うと、
企業がどのような業界や事業領域で、どのような経営戦略、
ビジネスモデルのもと成長を成し遂げ、
今後もその延長線上で成長が継続していくかという
ストーリーの信憑性となります。

業界や事業領域については、
AI、IoTなど注目されている分野であれば、
注目度が高く、当然IPOは成功しやすいです。
また同じようにAI開発に携わっている会社が2社あるとして、
1社は自社で製品を開発し、
その製品が今後普及することで業界を変える可能性をもっている企業と、
単に受託開発を請け負っている会社とでは、
マーケットの評価も当然異なります。

経営戦略やビジネスモデルについては、
注目されていない業界であっても、
成長し勝ち抜いていけるだけのストーリーを作ることができれば、
マーケットでの評価を得ることができます。
例えば、飲食店でチェーン店とは一線を画した、
個性のあるレストランを展開するような会社が、
運営実績や成長度合いを評価され、
IPOに成功するといった事例もあります。

このように、企業の成長ストーリー作成と
その実行可能性がIPOのために必要不可欠なものです。

事業環境や強みなどが個々の企業によって異なるため、
会社のことを一番よく知るIPOプロジェクトの責任者自らが、
魂を込めて作っていくものでなければならず、
この部分がIPOの成否を分けるというのは
とても納得のいくものでした。

文責:わかば経営会計 渡邊大真(大阪事務所)

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