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わかば経営会計メールマガジンVol29 8%と10%の分かれ道

2019.02.26Vol.029

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わかば経営会計メールマガジン Vol 29
2019年2月26日 火曜日
【目次】
1. 税制・経営コラム ~消費税経過措置について(後編)~
2. 税制・経営コラム ~事業承継が困難な企業(第4回)~
3. 実務書籍紹介 ~「経営の失敗学」~

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◇ 1.税制・経営コラム ◇
皆さま、こんにちは。
まだまだ寒い日が続いておりますが、体調崩されたりされていませんでしょうか?
寒い中ではありますが、日の出がだんだんと早くなり、
天気予報では花粉情報が伝えられるようになるなど、
春の気配も、少しずつですが、感じられるようになってきた気がします。

さて、まずは、前回お話ししていた「消費税率引き上げに伴う経過措置」の続きです。
前回は、「経過措置とはなんぞや?」ということを主に書きました。
経過措置が適用される事例は複数ありますが、
特に馴染みの深い具体的な項目について、今回は取り上げたいと思います。

<リース契約>
① ファイナンス・リースで、売買取引として会計処理する場合
資産の譲渡(売買)として扱われますので、経過措置の対象外となり、
契約開始日時点の税率が適用されます。
② ファイナンス・リースで、賃貸借取引として会計処理する場合
2019年9月30日までに引き渡しを受けたリース資産については、
10月1日以後の支払リース料も、8%の税率が適用されます。
③ オペレーティング・リースの場合
オペレーティング・リースは資産の貸付に該当します。
資産の貸付については、
平成25年10月1日~平成31年(2019年)3月31日の間に契約し、
2019年10月1日をまたいで貸付が継続しているものは、8%の税率が適用されます。

<電気・ガス等の光熱水料金>
2019年9月30日以前から継続して供給されている電気等に係る料金であって、
2019年10月1日~10月31日までに検針等が完了して請求額が確定する場合には、
8%の税率が適用されます。
ただし、インターネット料金など月々の使用料に関係なく定額で契約しているものは、
経過措置の対象外とされています。

<電車・飛行機などの運賃、映画・スポーツ観戦などの入場料>
2019年9月30日までに支払いが済んでいるものについては、
移動や入場が10月1日以降であっても、消費税率は8%になります。
(10月1日以降に予定がある場合、可能なら早く支払いをしておく方が良いということになりますね!)

<書籍の定期購読や化粧品等の定期購入>
平成31年(2019年)3月31日までに契約したもので
物品の対価が2019年9月30日までに支払い済みであれば、
10月1日以降に商品が送付される分についても8%の税率となります。

消費税の課税事業者にとっては、適正な価格転嫁ができる限り
あまり損得に影響はないかと思いますので、
経営者としてというよりも、むしろ一消費者としての方が、敏感な問題かもしれません。
経過措置の適用対象になるのかどうかは、判断が難しいケースもあるかと思います。
会計処理に迷う場合や不明点・疑問点がある場合には、
いつでもお気軽に、弊社までお問い合わせください!

◇ 2.税制・経営コラム ◇
シリーズ「事業承継が困難な企業」も、第4回となりました。
前回は、親族に後継者のいない社長さんがM&Aを決意されたところで終わっていましたね。
その社長さんからの質問です。

Q:「M&Aを行いたいと思うものの、我が社は赤字続き!
こんな会社でも、M&Aできるのでしょうか?」

A:「『赤字企業でもM&A売却は可能か?』という質問に
YESかNOで答えるならば、答えはYESです。

まず、決算書では赤字だということですが、きちんと実態を調査してみると、
実は赤字ではないというケースが考えられます。
たとえば、役員報酬があまりに高額で利益圧迫の要因になっている場合や、
マイカーなどの社長の個人資産を会社所有として、その減価償却費を計上している場合など。
これらの場合、役員報酬を適正な金額に戻す、保有資産を整理するなどの措置を取れば、
実際には黒字だということも考えられます。
中小企業では、節税のために敢えて利益を圧縮しているケースもあるかと思いますので、
『実質的には黒字なのか、赤字なのか』を見極めることが大切です。
(そのような見極め作業が、いわゆる「デューデリジェンス」です。)

また、たとえ本当に赤字であったとしても、
買い手企業にとって、将来の事業運営に必要だと思われる要素(資産・人材・技術など)が
御社にあれば、買収対象になることは十分にあり得ます。
ただし、そのような場合でも、買い手が必要以上にリスクを取りたくないと考えるのは当たり前です。
もし、赤字の要因が、買い手が求めている事業とは別の部門にあるとすれば、
欲しい事業だけを切り出して、買い取ることができればいいですよね。
それを可能にするのが、『事業譲渡』です。」

さて、次号では、この事業譲渡によるM&Aについてのお話をして、
シリーズ「事業承継が困難な企業」の最終回としたいと思います!

◇ 3.実務書籍紹介 ◇
「経営の失敗学」
(菅野寛著、日本経済新聞出版社(2018年4月))
https://www.nikkeibook.com/item-detail/19853

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。」
プロ野球の野村克也元監督の言葉です。
これはスポーツの世界だけでなく、ビジネスでもまったく同じで、
「こうすれば必ず成功する」という成功の十分条件(=必勝法)は存在しません。
一方で、多くの人が陥りがちな共通の失敗はいくつかあってパターン化もできるため、
その失敗パターンを学ぼう! というのが、本書の内容です。

著者の菅野氏は、ボストン・コンサルティング・グループで
多くの経営者の意思決定をサポートしてこられた方で、
その経験から、失敗を複数のパターンに分けて論じています。
いくつか書き出してみますと、

・意思決定の質とスピードのバランスを欠いている
・そもそもの出発点としての論点がずれている
・顧客が求めている価値を提供していない
・実行に際しての徹底度が足りない  などなど…

こうして項目だけ見ると、「そんなこと、言われなくてもアカンに決まってるやろ!」という感じですが、
書籍のなかでは、具体的な会社の事例も交えながら紹介されているので、
それぞれの項目の何がどう問題なのか、よく理解できると思います。

「失敗は成功の基」というのはまさにその通りですが、
だからといって失敗ばかりでは、成功する前に周りの信頼を失ってしまうかもしれません。
ですので、自分で失敗する前に、他の人の体験談を聞いて学ぶことは、非常に大切かと思います。
(弊社でも、メンバーそれぞれが経験した「ヒヤリハット」の事例を出し合い、定期的に共有しています!)
この本も、自分のことに置き換えながら読んでみると、新しい気付き・発見につながると思いますので、
ご興味があれば、ぜひご一読ください!

税制・経営コラムの消費税経過措置について書く中で、
「今年の3月時点では平成31年でいいけど、10月はもう平成じゃないなぁ」と思いながら、
和暦と西暦を織り交ぜながら書きました。
新しい元号はどんな二文字になるのか、個人的には少しワクワクもしますが、
色々なシステムや文書に影響が出るので、
システムのバージョンアップやら文書の印刷やら、なにかと手数も増えることかと思います。
消費税アップもありますし、今年は本当にバタバタする一年ですが、
滅多にないイベントでもありますので、皆さま、気張って乗り切りましょう!
では、今月はこのあたりで失礼します。また来月!

文責:わかば経営会計 吉良香奈子(大阪事務所)

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