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わかば経営会計メールマガジンVol32 本当の「働き方改革」って?

2019.05.30Vol.032

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わかば経営会計メールマガジン Vol 32
2019年5月30日 木曜日
【目次】
1. 税制・経営コラム ~消費増税対策 キャッシュレス決済に係るポイント還元~
2. 税制・経営コラム ~働き方改革について~
3. 実務書籍紹介 ~「残業学」~

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◇ 1.税制・経営コラム ◇
皆さま、こんにちは。
ここ最近は暖かい日がぐんと増えましたね!
弊社でも、5月からクールビズ期間がスタートし、メンバーの服装も軽やかになりました。

さて、令和最初のメールマガジンは、
消費税増税対策のひとつとして掲げられている
「キャッシュレス決済に係るポイント還元」の話題からスタートしたいと思います。

これは、消費税率アップによって減退することが予想される需要の平準化や、
企業・商店のキャッシュレス化の推進を図ることを目的とした施策です。
2019年10月の消費税増税後から9か月間、
加盟店として登録を受けた中小・小規模事業者等の店舗において
消費者がキャッシュレス決済手段で支払いをした場合に、
一定のポイントが消費者に還元されます。

「キャッシュレス決済」といっても、色々な種類がありますが、
クレジットカード・デビットカード、電子マネーやQRコード、モバイル決済などが対象とされています。
ポイントの還元率は、一般の中小・小規模事業者等は5%ですが、
コンビニなどのフランチャイズチェーン加盟店やガソリンスタンドは
事業者の規模等によって、2%であったり対象外になったりとパターンが複数あるため、注意が必要です。

この施策では、買い物をする消費者が得をするだけでなく、
キャッシュレス決済の加盟店手数料が安くなる(さらに期間中はその3分の1が国によって補助される)、
キャッシュレス端末を導入する際の自己負担がゼロになるなど、
中小・小規模事業者等への支援策もあるため、事業者にとっても一定のメリットがあるといえます。
対象店舗になるためには、決済事業者を通して加盟店登録を行う必要があり、
登録受付開始は5月中旬頃を予定と発表されているため、まもなく開始されると思われます。
(本メルマガの執筆時点では、まだ開始されていませんでした。)

支払いのキャッシュレス化はこれからもどんどん進んでいくと思われますので、
小売業などの事業者は、この機会にキャッシュレス決済の導入を検討してみるのも良いのではないでしょうか。

◇ 2.税制・経営コラム ◇
2つ目のコラムは、「働き方改革」についてです。

4月1日から働き方改革関連法が施行されています。
この法律は、主に
・長時間労働の是正
・多様で柔軟な働き方の実現
・雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
を実現させることを目的に、
働く人がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を目指すための法律、とされています。

施行されて1ヶ月ほどが経過しておりますので、ご存じの方も多いとは思いますが、
具体的な内容および注意点を簡単にまとめてみます。

<① 年次有給休暇5日取得の義務化>
労働者に年5日の有給休暇を必ず取得してもらうことが義務付けられました。
企業の規模を問わないため、中小企業ももちろん対象となります。
また、正社員だけでなく、パートやアルバイトであっても
条件を満たしている人であれば、適用が及びます。
罰則も用意されており、違反すれば、
従業員1人あたり最大30万円の罰金に処せられる可能性があります。

<② 時間外労働の上限時間の設定>
原則として、月45時間・年間360時間以内が上限とされました。
臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間・単月100時間未満(休日労働含む)、
複数月平均80時間(休日労働含む)を限度とする必要があります。
なお、当該規定は、中小企業は2020年4月1日より施行されます。

<③ 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)>
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートや派遣労働者など)の間で
基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な差をつけることが禁止されます。
こちらの規定は、大企業は2020年4月1日から、中小企業は2021年4月1日から施行されます。

②や③は、中小企業は施行までまだ少し時間があるため、
直近で対応が必要なのは、①の有給義務化だと思います。

長時間労働による健康障害のリスクや過労死の問題は本当に深刻です。
また、きちんと休みを取って身体と心を休めることは、
そのあとの仕事の効率アップにつながるのも事実だと思います。

ただ、こなすべき業務量は変わらず、
1日24時間という決まった時間枠のなかで、休みだけを強制されても業務が回らない…
というのが正直なところだという事業主さんは、多いのではないでしょうか?

そんな問題を考えてみたくて、「3.実務書籍紹介」で取り上げる一冊も
今回は労務系の本にしました。
(話は、次のコーナーに続きます。)

◇ 3.実務書籍紹介 ◇
「残業学 ―明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?―」
(中原淳+パーソル総合研究所著、光文社新書(2018年12月))
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334043865

「残業学」とは、あまり耳慣れない言葉ですね。
本書によると、日本企業にはびこる長時間労働をめぐる様々な学問を横断的に研究した
学問領域のことだそうです。

この本では、
・「働き方改革」で色々な施策が実施されてはいるが、
それらの多くは、残業の根本的な原因を放置しているために
現場での「やらされムード」を助長してしまっている
・多くの「働き方改革」の議論では、長時間労働を是正した後に広がる
「将来の成果や希望」への目配りが欠けている
という2点を大きな問題として、提起しています。
それを解決するため、著者とパーソル総合研究所は
約2万人を対象に大規模なデータ調査を実施しました。
その調査をもとにして、日本の長時間労働の要因やメカニズムについて考察した結果が
「残業学」の講義形式という形でまとめられています。

本の前半は、残業がいかにリスクの高いものなのかについての考察が中心ですが、
後半では、どうやったら残業を減らしていけるのか、
「働き方改革」を効果あるものにするにはどうすればいいのか、が書かれています。

上述したように、残業だけを減らしても、業務量が減らなければ
自分たちの首を絞めるだけになりかねないため、
組織の生産性を根本から高めることの重要性が説かれています。
たとえば、目の前にある業務以上の「プラスアルファの仕事」を見つけてこなすことが
評価されがちな日本企業の体質を変え、
マネジメント層が「本当にやるべきこと」と「やらないこと」を明確にすべき、と提案されています。
「やることは無限にある」と思いがちなところは私自身にも非常にあてはまるので、
業務の優先順位をしっかりと考えて行動することは、マネジメント層だけでなく
社員ひとりひとりが実行していくべきだなと、読んでいて感じました。

「生産性を高める」というのは、言葉で言うのは簡単ですが、
実際に実行するのは非常に難しいです。
しかし、そこを変えてはじめて、本当の意味での「働き方改革」になるのだと思います。
なかなか良い解決策が見えない難しい問題ではありますが、
社会で働く人みんなが少しでも幸せに働き・暮らせるように、継続してしっかり考えていきたいですね。

今月はまじめな感じのまま、このあたりで失礼いたします!
日中はかなり暑くなる日も多いですし、皆さま体調にはどうぞお気を付けて。
では、また次号でお会いしましょう!

文責:わかば経営会計 吉良香奈子(大阪事務所)

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