Mail Magazine

メールマガジン

わかば経営会計メールマガジンVol57  令和4年税制改正大綱 その2

2022.01.14Vol.057

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
わかば経営会計メールマガジン Vol 57   令和4年税制改正大綱 その2
2022年1月14日 金曜日
【目次】
1.税制・経営コラム ~令和4年税制改正大綱(所得税・資産税編)~
2.実務図書紹介  ~中堅・中小企業のための「DX」実践講座~

↓↓↓バックナンバーはこちらから↓↓↓
https://wakaba-ac.jp/mailmagazine/
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年の年末年始は寒く、初詣以外ほとんど外出しませんでした。
直近ではオミクロン株の感染者数が増えていますので、体調管理には気を付けたいと考えています。
今回は、前回に引き続き、税制改正について説明いたします。

◇ 税制・経営コラム ~令和4年税制改正大綱(所得税・資産税編)~ ◇

昨年12月10日に令和4年の税制大綱が発表されました。
法人税に関しては、賃上げ税制のほか、5G促進や地方拠点強化、
環境への配慮(いわゆるSDGsに対応するもの)を促進するものが目立ちますが、
大きな影響を受けるのは大企業が中心となりそうです。
法人税、消費税に関する改正は、前回のメルマガを参照ください。

所得税、資産税の影響度の高い改正は、住宅ローン控除の縮小や
住宅取得資金の贈与税非課税枠の見直しがあります。
一時期話題となりました、相続・贈与課税の一体化や、金融所得課税の見直しについては、
改正が見送られています。

<所得税に影響する論点>
・住宅ローン控除
 面積要件等一定の要件を満たせば、年末のローン残高(上限4,000万円)の1%が、
13年間にわたって税額控除される(支払った税金が戻ってくる)というのが、
現行の住宅ローン減税ですが、以下の通りとなります。全体的に縮減の傾向にあります。

■入居期限
2023年12月31日期限と2025年12月31日期限とで控除率に差があり、
控除率、ローン残高上限は段階的に縮小されます。
以下では、2025年12月31日期限の住宅ローン控除について記載します。

■控除率
年末の住宅ローン残高の0.7%
■控除対象となる年末のローン残高上限額
省エネやバリアフリーなどに配慮した「認定住宅」:4,500万円
一定程度省エネに配慮している場合:性能に応じて3,000万円か3,500万円
それ以外の住宅:2,000万円
■控除の期間
新築:13年または10年、中古:10年間

・居住用財産の買換え等の特例の適用期限の延長
従来から、一定の要件を満たす所有期間が10年超である居住用財産を売却し、
新しいものに買い替える場合、売却益の課税を繰り延べることができる制度がありました。
2022年1月1日以降は、一定の省エネ基準要件を満たした場合にのみ
適用することができます。
 
・完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収制度の見直し
従来、持分比率100%の子会社から配当を受ける場合でも、
源泉徴収が必要とされていました。
しかしながら、還付手続きが煩雑であることから、100%保有である場合に限り、
源泉徴収を行わないこととなりました。


<資産税に影響する論点>

・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長等
住宅取得資金として直系尊属から贈与を受けた場合、
最大1,500万円まで非課税となる制度がありましたが、
省エネ住宅1,000万円、それ以外の住宅500万円に縮減されています。

・登録免許税・不動産取得税・印紙税 軽減措置等の延長
登録免許税は、不動産の登記にあたって必要となる税金で、
特定認定長期優良住宅、認定低炭素住宅などを建築して登記した場合、
登録免許税が減免されるという制度です。
この制度は、2024年3月31日まで延長されます。

・法人版事業承継税制における特例承認計画の提出期限延長
 法人版事業承継税制は、後継者である相続人等が、非上場会社の株式等を
贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、
その納税を猶予または免除される制度です。

この制度を利用するにあたっては、特例承認計画を都道府県に提出し、確認を受ける必要があります。
この計画の提出期限が1年間延長され、2024年(令和6年)3月31日となりました。

ただし、株式の贈与または相続の実行開始の期限である、特例制度の適用期限は、
今後も延長予定はなく、2027年(令和9年)12月31日となっています。

事業承継を計画されている方は、早めの対応をお願いいたします。

◇ 実務図書紹介 ~中堅・中小企業のための「DX」実践講座~ ◇

https://honto.jp/netstore/pd-book_31050024.html
(船井総合研究所 デジタルイノベーションラボ 著、 2021年8月)

この本は、船井総研でシステム導入を行ってきた方々が、DXチームを結成し、
中堅企業向けの支援業務を行う中で培ったノウハウの一部を公開した本で、

DXの担当者が、プロジェクトを進めるにあたり、頭を悩ませるのは、
どのように経営陣・社員を巻き込むか、どのように取り組みを進めるか、
何をDX化するか、の3点にまとめられると思います。

・どのように経営陣・社員を巻き込むか?
DXは全社的な取り組みのため、周りを巻き込んでプロジェクトを進めていく必要があります。
規模の大きな会社であればあるほど、担当者に一任して勝手に進めても、
他の社員の協力が得られずうまくいきません。
DXについてワークショップのような会議を開催し、社員が意見を出し合い、
皆が納得した上で意見を集約するという、ボトムアップの取り組みが必要です。

一方で、会社の創業理念を踏まえたうえで、中長期的な目指すべき
売上や従業員規模といった目標については、
経営陣とも相談しながら、策定する必要があります。

経営陣、社員とも、DXについては一人一人がイメージしているものが異なるため、
皆が期待と不安を持っています。イメージをできるだけ共有できるように、
DXプロジェクトに関する現状認識と、設計図を作る必要があります。

・どのように取り組みを進めるか?
まず、会社の現状認識を見えるようにするため、以下3つの観点から整理を行います。

一つ目は、「人・組織」についてです。
誰と誰がどのように仕事を行っているかということについては、
数十人以上の会社になるとなかなかわからないものです。
そこで、部署ごと、課ごとに全社員を分類し、部署同士でどのようにやり取りをしているか、
俯瞰できる表を作成します。

2つ目は「業務プロセス」についてです。
それぞれの部署で行われている業務を、業務プロセスごとに表形式でまとめ、
日常的に利用しているシステムの問題点や理想的な形などを含めて記載していきます。

3つ目は「デジタルツール」についてです。
会社で利用しているデジタルツールを網羅的に抽出し、
それらのツールのデータ連携がわかるように、チャート形式にまとめます。
このようにすることで、例えば、一つの部署で独自に使用しているシステムや、
データの2重での入力作業が発生しているシステムなど、
非効率的な部分が浮かび上がってきます。

これらの3要素を「見える化」したのち、DXの設計図「DXジャーニーマップ」を作成します。
この段階で、社員で業務改善に向けた意見を出し合うワークショップを
開催するのも良いかもしれません。

このマップは、会社の製造、営業だけでなく、経理、総務、人事といったバックオフィス業務も
含めて1枚の用紙にまとめ、業務プロセス、それをモニタリングするKPI、
デジタルツールを紐づけたものになります。
1枚の用紙にまとめる以上、1部署につき数個のプロセスしか記載できず、
プロセスはざっくりとしたものになります。
この段階ではシステム間の連携なども議論の対象となるため、
細かい業務プロセスを記載する必要はありません。

例として、名刺交換したお客様のアドレスに、定期的にメールマガジンを送信し、
開封したお客様にのみ電話で営業をするというプロセスを考えます。

まず、名刺を会社で一元的に管理するツール、
メールマガジンを発信し、開封率などをモニタリングできるツール、
電話で営業を行った結果、受注に結び付きそうかどうか、情報を管理できるツール
が必要です。
KPIはそれぞれ、メールの開封率、電話での成約率になります。
これらを定期的にモニタリングし、KPI改善を目指します。

・何をDX化するか?
DXの設計図が完成したら、ツール導入の優先順位を考慮して、費用対効果
が高い形で実現するためのツール選定を行います。
会社のことを最もよくわかっているのはDX担当者なので、
ITベンダーの言葉を鵜吞みにすることなく、慎重に選定することが必要です。

操作が簡単であること、クラウドであること、データ連携がしやすいこと、
セキュリティ対策・データの保存のための対策がされていること、
操作のサポート体制が充実していること等が重要な要素となります。

既存システムからのデータ移行には、それなりの時間と労力がかかります。
最初からいきなり全社的に導入するのではなく、
一部署だけで試験的に行ってみるなどして、慎重に対応する必要があります。

文責:わかば経営会計 渡邊大真(大阪事務所)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
株式会社わかば経営会計/税理士法人わかば経営会計
URL:https://wakaba-ac.jp/
□大阪事務所
〒541-0042 大阪府大阪市中央区今橋2-3-16 MID今橋ビル11F
TEL:06-4706-8088 FAX:06-4706-8023
□東京事務所
〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町2-11 イワサキ第二ビル5F
TEL:03-6231-1974 FAX:03-6231-1975
□福岡事務所
〒812-0013 福岡県福岡市博多区博多駅東1-1-33 はかた近代ビル8F
TEL: 092-292-7559 FAX: 092-292-7576
□千葉事務所
〒260-0016 千葉県千葉市中央区栄町36−10 甲南アセット千葉中央ビル7F
TEL:043-306-9191 FAX: 043-306-9192
□神戸事務所
〒651-0084 兵庫県神戸市中央区磯辺通1-1-20 KOWAビル
オープンオフィス神戸三宮南センター3F
TEL: 050-6875-0285
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【留意事項】
※当メールマガジンの内容についてのお問い合わせは、弊社のご担当、または
当社HP問合せ(https://wakaba-ac.jp/contact/)よりお願いします。
※当メールマガジンの内容の無断転載はお断りしております。
※当メールマガジンは弊社所属メンバーが名刺交換をしたお客様及び
HP等で登録をいただいたお客様にお送りしております。
配信停止をご希望の場合、info@wakaba-ac.jpまでご連絡ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

メールマガジン一覧へ戻る