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わかば経営会計メールマガジンVol63   開始直前!インボイス制度について!①

2023.08.24Vol.063

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わかば経営会計メールマガジン Vol 63   開始直前!インボイス制度について!①
2023年8月24日 木曜日
【目次】
1. 税制・経営コラム ~インボイス制度の概要~
2. 税制・経営コラム ~インボイス制度に向けた準備~

↓↓↓バックナンバーはこちらから↓↓↓
https://wakaba-ac.jp/mailmagazine/
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お世話になっております。今年も早くも8月ということで、
制度開始直前に迫ったインボイス制度の特集号として、
今回はインボイス制度の概要・事前準備事項、
次回はその他重要な論点・経理業務頻出Q&Aと、
2回に渡ってインボイス制度を解説したいと思います。


◇ 税制・経営コラム~インボイス制度の概要~ ◇

<インボイス制度とは>
消費税の計算・申告のために、適格請求書発行事業者(以下「インボイス発行者」)
から交付を受けた適格請求書(以下「インボイス」)の保存が必要になる制度です。
インボイスとは、取引に係る消費税額や適格請求書発行事業者番号
(以下「登録番号」)等の一定事項を記載した書類であり、
従来の請求書や納品書などがこれらに該当するといえます。

インボイス制度は、令和5年10月1日よりスタートするため、
既に準備をしている事業者様も多いと思いますが、
再度事前準備の方法を確認していきたいと思います。

※概要詳細はVol60のバックナンバーもご参照ください。
(わかば経営会計メールマガジンVol60 /1.税制・経営コラム ~インボイスについて~)
https://wakaba-ac.jp/mailmagazine/574/


◇ 税制・経営コラム~インボイス制度に向けた準備~ ◇

<インボイス発行者側としての事前準備>
〇 登録番号の取得方法と期日
登録番号は「適格請求書発行事業者の登録申請書」に必要事項を記載のうえ
所轄税務署に提出申請することで取得できます。
提出方法としては「①書面での提出」と「②e-taxでの提出」の2通りあり、
提出方法によって登録番号の発効までにかかる時間が異なるため留意が必要です。
・①書面での提出:約3か月
・②e-taxでの提出:約1か月半
なお、登録番号の取得に際して特段期日はありませんが、
インボイス制度の導入開始日(令和5年10月1日)より
インボイス発行者となるためには、令和5年9月30日までに申請する必要があります。

〇 請求書フォームの改修
消費税の計算・申告にあたっては、従来「区分記載請求書(=従来の請求書)」の
保存をもって仕入税額控除(※)の適用を受けることができましたが、
インボイス制度導入後は「インボイス」の保存が必要になります。
(※)消費税は「①売上に係る消費税」から「②支出に係る消費税」を差し引いて
申告・納付額を計算しますが、この②を差し引くことを「仕入税額控除」と言います。

いずれも必要記載事項が定められており、これらの必要事項が
記載されていない場合は仕入税額控除の適用が認められません。
今回保存資料がインボイスに切り替わるにあたって
必要記載事項が下記の通り変更となりましたので、
自社が発行する請求書等に下記事項が漏れなく記載されているかの
事前確認が必要となります。

【必要記載事項】
①インボイス発行者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
※うち、「①の登録番号」・「④の適用税率」・「⑤」が新たに記載を求められる事項。

請求書発行システムを利用して請求書を作成されている場合は、
システムベンダー側で要件を満たすようシステムアップデートが実施されると思われますが、
Excelなどで請求書を作成・発行されている場合は
請求書フォームの改修が必要となりますので留意が必要です。

またインボイスでは、1つの請求書上で複数の取引がある場合、
消費税の計算は、税率ごとの取引合計額から計算しなければならず、
従来認められていた、1取引ごとに消費税額を計算する方法が認められなくなるため、
こちらについても留意が必要です。

〇 売上返還等に係る返還インボイスの発行準備
インボイス制度導入後、インボイス発行者が売上返品、売上値引き、
売上割戻し、売上割引といった「売上返還等」を行う場合、
「返還インボイス」の交付が義務づけられました。
従来、売上返還等にあたってこの様な形式的書類の発行は求められていなかったため、
売上返還等が恒常的に生じる会社は、返還インボイス発行のための
準備を進めておく必要があります。

なお、令和5年度税制改正にて事業者の事務負担を軽減する観点から、
税込価額が1万円未満の売上返還等については
返還インボイスの交付義務が免除されることとなっています。


<インボイス受取者側としての事前準備>

〇 保存対象資料(受取インボイス)の精査
インボイス発行者側で記載した通り、今後はインボイスの保存が必要となります。
そのため、自社で生じた各取引において何が「インボイス」に該当するのかを事前に精査し、
保存対象となる資料を整理しておく必要があります。

例えば、ネット通販でクレジットカードにより購入した取引については、
クレジットカードの利用明細ではインボイスの要件を満たさないため、
ネット通販業者から発行された領収書等を保存する必要があります。

また、水道料金等については「検針票」がインボイスに該当する自治体が多いですが、
コンビニ等での支払いに係る「納入通知書」は自治体によって
インボイスに該当する場合と、しない場合があるため、
自社の所在する自治体がどのような対応をとっているか事前に確認しておきましょう。

〇 取引先が「インボイス発行者」登録をしているかの事前確認
インボイス制度導入後は、自社が受け取った請求書等が
インボイスに該当するか否かを区別する必要があります。
この時、請求書を受け取る都度確認を行うとなると事務負担が増大してしまうため、
事前に取引先が「インボイス発行者」の登録をしているか否かを確認しておき、
取引先別に請求書を区別することが現実的な対応となります。
そのため、主要な取引先には書面等で「インボイス発行者か否か」の事前確認を行い、
インボイス制度開始までに取引先の状況を整理しておくことが望ましいでしょう。

〇 取引先のインボイスの確認
インボイス発行者登録を行った事業者にはインボイスの発行義務があるものの、
仮にインボイスの要件を満たさない請求書を受け取った場合には、
消費税申告において受け取った側が不利益を被ることとなります。
そのため、各取引先から発行されるインボイスにつき、
事前に必要記載事項が漏れなく記載されているかを確認しておくことが望ましいです。

また、請求書・領収書・納品書など、1つの取引につき
複数の書類が発行される取引先については、
事前に「どの書類をもってインボイスとするのか」をすり合わせておくと良いでしょう。

〇 免税事業者の取引先への対応方針について
従来取引関係がある免税事業者(「インボイス発行者」登録をしていない事業者)
がいる場合、インボイス制度導入後、免税事業者との取引では
消費税申告で不利益を被ることから、その分の金額を、
従来の取引価格から調整する価格交渉を行うか?
という論点が生じます。

この点、経過措置(次回コラムにて解説)があるため、
取引価格を一方的に引き下げる行為は、
独占禁止法・下請法等の諸法令上問題となるおそれがあります。
そのため、インボイス制度導入にあたって免税事業者との
取引価格改定を検討される場合は、
諸法令に抵触しないか顧問弁護士と相談のうえ
手続きを進めることが望ましいでしょう。

〇必要に応じた契約周りの整備
免税事業者との取引価格改定を行う場合、
既存契約の変更覚書を結ぶ必要があるケースも多いかと思われます。
これら契約内容の整理もインボイス制度開始までに対応が必要となります。

〇会計システムの整備
多くの会計システムにおいては、システムベンダー側で
インボイス制度に対応するアップデートが行われると見込まれますが、
自社開発の会計システムを使用されている場合等は
個別に会計システムの改修が必要となります。
自社の会計システムがインボイス制度に対応しているかどうか、
事前に確認しておくことが望ましいでしょう。





文責:わかば経営会計 萩原和紀(東京事務所)、永山昌樹(東京事務所)
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