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わかば経営会計メールマガジンVol65  どうする2024年問題

2023.10.17Vol.065

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わかば経営会計メールマガジン Vol 65   どうする2024年問題
2023年10月17日 火曜日
【目次】
1. 事務所通信 ~新メンバー紹介~
2. 税制・経営コラム ~どうする2024年問題~

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◇ 1.事務所通信 ~新メンバー紹介~ ◇
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
ようやく秋らしい気候になり、過ごしやすい日が増えてきました。

しばらく新メンバーの紹介ができておりませんでしたので、
2023年4月以降に入社した新メンバーを紹介いたします。
・萩原和紀(はぎわらかずき)  東京事務所(税理士)
・原田悠生(はらだゆうき)   東京事務所(公認会計士)
・中村駿介(なかむらしゅんすけ)東京事務所(公認会計士)
・山下直記(やましたなおき)  大阪事務所(公認会計士)

フロントメンバーは東京12名、大阪15名、福岡2名体制となりました。
今回のメンバーは、職歴・経歴が様々で、
事務所に新たな風を吹き込んでくれています!
新メンバーも含めまして、今後ともよろしくお願いいたします。


◇ 2.税制・経営コラム ~どうする2024年問題~ ◇

今回は、私たちの生活にも大きな影響を与えると言われる
物流業界における、いわゆる「2024年問題」を取り上げます。
問題の背景や今後の動向、物流事業者や荷主企業で必要になる対応策
について整理していますので、ぜひご一読ください!

○そもそも2024年問題とは?
2019年に施行された働き方改革関連法で、
時間外労働時間の上限などが定められましたが、
自動車運転業や建設業、医師等の一部業界では、
2024年3月末まで猶予期間が設けられました。
今回はその中でも特に影響が大きい自動車運転業を取り上げています。

猶予期間終了後の2024年4月からは、
トラック運転手の時間外労働に以下の制限が加わります。
・時間外労働時間の上限:年間960時間
・1日の最大拘束時間:15時間(1時間の短縮。14時間超は週2回までが目安)

トラック運転手の労働時間に上限が設けられることで、
貨物需要に対してトラック運転手が不足し、
従来の物流網を維持できなくなると言われています。

野村総合研究所によるとこのままでは、
2030年には貨物需要に対して35%のドライバーが不足する見込みであり、
企業の事業活動への影響が懸念されます。

その一方で、日本商工会議所によると、
物流効率化等の対策に取り組む中小企業は
25.5%にとどまる等、対策が追い付いていないのが実情と言えます。

物流事業者においては、
残業規制によりトラック運転手の労働時間が減少し、
残業手当等の収入が減ることから、よりよい待遇を求める
トラック運転手の退職が増加するかもしれません。

一方で、荷主企業においては、
原材料や商品の輸送にこれまで以上の日数を要することが予想され、
生産計画の見直し等が必要になるかもしれません。

○今後の動向
政府もようやく本腰を入れて対策に乗り出し、
荷役作業の自動化や再配達率の半減などの方策を
10月中にまとめる経済対策に盛り込む予定です。
官民一体となった取り組みが本格化していくと予想されますが、
その中でのトレンドは大きく以下の2点と考えられます。

・物流事業者あるいは荷主企業の合従連衡による共同配送システムの構築
これまで1人のドライバーが複数日かけて遠距離を運んでいましたが、
1日の拘束時間に上限が設けられることで、複数人で分担をして運ぶ必要が出てきます。

長距離輸送の貨物を引き継ぐための中継拠点の整備が進められ、
中継輸送や鉄道や船に乗せ換えて運ぶモーダルシフトが増加すると予想されます。
これらを実現するためには、複数の物流事業者間で利用可能な配送システムの構築や、
パレットやコンテナの標準化を行う等のプラットフォームの整備が必要になります。

共同の配送システムを整備する動きは荷主企業側にも見られ、
すでに食品や日用品等の分野において複数の荷主企業が年内にも
新たな共同配送システム基盤の運用を開始する予定です。

政府も中継拠点の整備を支援する動きを見せており、
官民一体での共同配送のためのプラットフォームが整備されることで、
混載によるトラック積載率の向上や荷役時間・待機時間の削減等の
効率化を実現できると考えられます。

また、アマゾンジャパンのような大企業は、自社で荷物の集約・配送拠点を増設し、
個人事業主の起業を支援するプログラムを用意しトラック運転手を確保する等、
独自の宅配網の整備に着手しています。

・先端技術の活用
物流事業者にとってはトラック運転手の確保が喫緊の課題となりますが、
物流事業者と個人事業主のドライバーとのマッチングを支援するAIを活用したサービスや、
ドローン・自動運転等の先端技術を活用した人力に頼らない輸送手段の拡大等も予想されます。

日々、新たな取り組みに関する新聞報道が行われており、
現在進行形で対応が進められている2024年問題ですが、
先端技術を上手く活用しつつ、これまで企業が個々で行ってきた物流業務を
複数の企業間で連携して行い効率性を高めていくことが、
大きな方向性になるのではないでしょうか。

次に、主に中小企業を念頭に置きながら、
物流事業者、荷主企業それぞれにどのような対策・準備が必要になるかを整理します。

○物流事業者の対策
トラック運送業界は、トラック保有台数が10台以下の企業が
事業者数全体の約45%を占めており、小規模事業者が大半です。

価格競争が激しく取引環境は非常に厳しいと推測されますが、
トラック運転手の新規獲得や退職を防止するためには待遇の改善が必要となります。
業務のムダや非効率を洗い出し、業務効率化を通じた生産性向上を行うことになりますが、
荷主企業の協力も得なければ抜本的な改善は難しいようにも思います。

例えば、ばら積み(手積み)により荷役作業に時間を要している場合には、
パレット積みに変更してフォークリフトを使用することで荷役時間を削減する、
荷待ちの待機時間が長いのであれば、荷主企業に予約受付のシステム導入
を働きかけるといったことが挙げられます。

これらは荷主企業側にとっても、荷待ちの滞留車両の削減や
現場管理者の労働時間の削減等のメリットが想定されます。

また、外国人労働者の採用も人員確保のための一つの手段となりえます。
(年度内に、在留資格「特定技能」の対象に、「自動車運送業」を追加する動きがあります)

自社での業務効率化を実施してもなお採算を確保できない場合には、
荷主企業への適正価格の請求(値上げ)も検討する必要があります。
その際には、自社の運送原価を正確に把握し、交渉材料を整理しておくことが重要です。

とはいえ、小規模事業者の場合には荷主企業からの値下げ圧力も強く、
値上げの実現が困難なケースも想定されます。
自助努力で限界がある場合には、自社より規模の大きい物流事業者に
株式や事業を譲渡(M&A)することで、経営の合理化を進めることも一つの手段です。

○荷主企業の対策
まずは、2024年問題が自社に与える影響について、
物流の状況を分析・検討する必要があります。
例えば、これまで通りの日数で原材料や商品を運搬できなくなるのであれば、
物流のリードタイムを考慮しある程度在庫を保有する等のサプライチェーン計画
の見直しも必要になるかもしれません。

また、同じエリアの同業者間で連携して共同配送を実施する等、
これまでの慣例にとらわれない取り組みも一つの方向性ではあります。

政府は一定規模以上の荷主企業に対して、物流経営責任者の選任に加えて、
物流の生産性を高める中長期計画の作成と定期報告を義務付けたうえで、
取組状況が著しく不十分な場合の法的措置の法制化を検討しています 。

これは、2024年問題を解決するには、荷主企業側での改善活動が
必要不可欠であることを物語っており、積極的に物流事業者と意見交換し、
協力して課題を解決することが自社の安定物流を維持するうえで重要となります。


今回は、私たちの日常生活に大きく影響する2024年問題を解説しました。
翌日配送が当たり前となり私たちの生活は便利になりましたが、
この当たり前を支えるトラック運転手は待遇面の悪さが指摘されています。

ECサイトでの買い物時には複数商品をまとめて発送するように設定する、
可能な限り置き配を利用し配達回数を減らす等、
私たち一人ひとりの行動で物流負荷を軽減できる部分もありますが、
それだけではこの問題を解決することは困難です。

2024年問題を契機に、これまで見逃されてきた非効率を解消し、
大きな視点で日本の物流の仕組み自体を見直すことで、
物流網の維持とトラック運転手の待遇改善を両立していければベストではないでしょうか。

文責:わかば経営会計 山本悠貴(大阪事務所)
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