リスケジュールとリファイナンスについて解説します。
2025.05.13
企業経営には浮き沈みがつきものです。長期的に見れば順調に成長している企業であっても、短期的には資金繰りに窮する場面に直面することがあります。たとえば、売上の急激な落ち込み、主要取引先の倒産、原材料費や人件費の高騰、あるいは天災などの予期せぬ出来事。そうしたタイミングで、金融機関との借入返済計画を見直す「リスケジュール(リスケ)」という手法が有効となる場合があります。
さらに、リスケジュールを経て経営状態が改善した後には、「リファイナンス」という出口戦略を活用し、金融取引の正常化を目指す企業も少なくありません。今回はこの「リスケジュール」と「リファイナンス」について解説します。
リスケジュールとは、金融機関からの借入金の返済条件を見直し、月々の返済額を軽減または一時猶予することをいいます。経営が厳しい状況にある企業が、資金繰りを改善し、事業の立て直しを図るための猶予期間を確保する手段のひとつです。もっとも、本来の返済スケジュールに則った支払いが困難となることは、金融機関に対して資金回収の遅延や信用管理上の負担を生じさせ、重大な影響を与える行為であることを十分認識しておく必要があります。
1.主な目的
リスケジュールの目的は、資金不足による倒産を防ぎ、経営改善に取り組む時間を確保することにあります。ただし、リスケジュールは単なる“延命”ではなく、あくまで経営改善を図るための猶予期間であることを忘れてはなりません。
この対応を実現するには、金融機関の理解と協力が前提となります。そのためにも、経営者はこの期間中に収益力の改善に向けた具体的なアクションプランを立案・実行することが強く求められます。
2.メリットとデメリット
リスケジュールにより資金繰りに一定の余裕が生まれ、経営改善が進んだ企業は、次のステップとして金融取引の正常化を目指すことが一般的です。その代表的な手段が「リファイナンス」です。
リファイナンスとは、既存の金融機関借入金を新たな条件の借入に借り換えることです。単なる借り換えに留まらず、企業の財務状況が大きく好転していれば、より有利な金利や返済条件を得ることができる可能性もあります。
1.主な目的
以下のメリットを活かし、企業はより安定した財務基盤を構築し、成長を目指すことができます。
2.ポイント
ただし、リファイナンスは借り換えとはいえ新たに融資を実行することになるため、金融機関からの同意を得るには相当のハードルがあります。リファイナンスを実現するためには、企業の収益力の回復が見込まれること、それを裏付ける具体的かつ実現可能な事業計画を明確に提示することが重要となります。
そのためには、リスケジュールの段階で、現状の財務状態を把握したうえで、中長期的な収益見通しを盛り込んだ実行可能性の高い事業計画を策定し、まずはその計画をしっかり達成することが必要です。その上で、金融機関との信頼関係を構築しながら、返済条件などについて丁寧に協議・交渉を重ねていくことが、リファイナンス成功の鍵となります。
この過程において、過去の取引経緯等の理由から、既存の金融機関がリファイナンスに応じてくれないケースもあります。その場合には、新たな金融機関の選定や、保証協会の活用などを視野に入れる必要があります。メインバンクとの連携はもちろんのこと、金融調整に精通した専門家のサポートを受けることも、スムーズな交渉を進めるうえで有効な手段となります。
リスケジュールとリファイナンスは、どちらも「企業を再起させるための手段」であり、単なる延命策ではありません。特にリスケジュール期間中は、金融機関からの新規融資が受けにくくなるなどの制約もありますが、その期間を「改善のチャンス」として最大限に活かす必要があります。
そして、経営改善が軌道に乗れば、リファイナンスによって再び信用を取り戻し、企業は次の成長フェーズへと進むことができます。
弊社では、リスケジュールやリファイナンスに関する支援実績が豊富にございます。事業計画書の策定はもちろんのこと、金融機関との調整に関しても多くの経験とノウハウを有しておりますので、お気軽にご連絡ください。